おそろい -pair ring-
おそろいの銀色の細いリング。
帰りに近くの洒落た雑貨屋で買ってきた。
こんなサプライズも悪くないだろう。
リンは頬を桃色に染めて、それから大きな瞳を潤ませた。そっ淡く輝くリングをその薬指に通す。
「何で右なの?」
「え、」
リンの口調は少し不満そうだった。
何となく想像はついていたけど、これほど露骨とは。
「ほら、左は取っておかないとね」
言われなくても、いつかはこっちにも。
小さな身体を抱きしめると甘い香りがする。
耳元でそっと告げるとコートの背中をぎゅっと掴まれた。
おそろいといえばペアリングでしょう。と言う話。ラブラブが書きたかった。
兄さんの指は細そうだなぁ…という後日談はこのまま下へ。こっちはらぶらぶじゃないですけど。
おまけの後日談。
リンは今日も指にきらきらひかるそれを身に着けて、ご機嫌だ。
「にいに、そういえばいつリンの指輪のサイズ測ったの?」
「え…手、握った感じがおんなじくらいかな〜って思って」「同じ……?」
「え?」
「おんなじかぁ…」
急に顔色が暗くなったリンは何かぶつぶつ言いながら、何処かへ行ってしまい、今日はそれっきり姿を見せなかった。
あとで許してもらうのがすごい大変だった。
そんなつもりじゃなかったんだけどなぁ…