「そーいえば、レンとおにいちゃんの袖の縞々お揃いだね」

特に話題のないおやつタイムにそんな話になった。
「ミクの髪留めだって似てるじゃん」
「うげっ」
「カイ兄聞いたら泣くよ…」

別に意味なんてなかったんだと思う。
あたしもそうだねー、なんていいながらオレンジジュースをすすっていた。

 

おそろい

 

「……だって」
にいにの胸元にのの字を書く。
いつの間にかここはあたしの特等席で、今日も気付けばここに座っていた。
いいこいいこしてもらうのでとっても好き。
「そういえばそうだねー」
にいには思い出したように左腕を持ち上げてそれを確認している。
あたしを撫でていた手は動きが止まる。
「ほんとだ、おそろいだ」
「で、リン、思ったんだけど」

あたしとレンは双子。
ミクちゃんとは搭載エンジンが一緒。
めーこおねーちゃんとにいにもエンジンが一緒。

 

「あたしとにいにのおそろい、思いつかなくて…」
「……考えすぎじゃない?」
「でも…」
にいには困ったように笑ったけど、あたしは欲しかった。
すねた顔で下を向く。
「僕はお揃いなんかなくたってリンのこと好きだよ」
目の少し上でちゅっ、って音がした。
あたしは視線だけを上げる。にいにが離れていく瞬間が映ると顔が熱くなった。
それから目が合うと、にいには少し恥ずかしそうに目を細めて、あたしのほっぺを撫でた。

 

「それに大好きって気持ちはきっとお揃いだよ……違う?」

「…ちっ、違くない!!」
慌ててぶんぶんと首を振る。
「なら、よかった」
何で気付かなかったんだろう…
ぎゅっとにいにの服の胸元を掴むと、いつものようにやさしく抱きしめてくれた。

 

「今度買いに行こうか、お揃い」
「え?」
「何にするか考えといてね」
「…えっとねぇ」
答えようとすると、ゆっくり唇を遮られた。

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