こたつ -ほのぼの編-

 

いつものようにこんこんとノックする。
するといつもなら扉を開けてくれるにいにの声だけが聞こえた。
入っておいで、って。
あたしには理由が分かっていた。
だって昨日から急に寒くなったから…

 

「やっぱりー」

ぱんっ、と手を叩く。
目の前に広がる思っていた通りの光景。

お日様に干したふかふかのお布団。
その上にカゴに入ったみかん。

「リン、その格好じゃ寒くない?」
「いいの、コタツがあるから☆」
わざとらしく肩を落とすにいにの傍に行きたくない訳ないじゃない。
「僕じゃないんだ…」
「よく自分で言うよね」
あたしはわざとツンとしてにいにの正面の辺にもぐりこんだ。

「あー、あったかーい」
「こっちはもっと暖かいよ?」
声のほうに向くと思った通り、にいにが自分の膝を叩いている。
「…あたし、もう子供じゃないもん」
「そう…」
暫くぼーっと見つめあう。
ちょっと気まずいけど特に話したいこともない。しいて言えばコタツのこと。
だってそれ以外は昨日もおとといもずっと一緒だったんだもん…
かごの上のみかんを取ってぺりぺりむく。
あ、今年初めてだったかも。

 

「コタツってかなり完璧だと思うんだけど、背中が何か寒くない?」

しばしみかんに夢中になっていると、にいにがわざとらしく咳払いをした。
それから、独り言のように呟くと立ち上がって、あたしの後ろに周る。
後ろからにょきっと伸びてきた腕にすぐに拘束された。
触れた部分から温かいものが流れてくる。
「でもリンの体温のほうが好きかな…」
「ちょっ…にいにっっ」
ふんわり抱きしめられて不覚にもとどきっとした。
慣れた行為のはずなのに、ああああ、あたしじゃない。
にいにが悪い。
確かに馬鹿みたいにぎゅうぎゅうするのはもうやめて、って言ったことがある。
だからってそれは肝心なとき実行してほしいの。
例えば……ってあたし、何考えてるの。
ただ、頭の中に浮かんだものをかき消すように口から出てきそうな言葉を以外押し込めた。
「ん、段々暖かくなったと思ったら、リン、顔真っ赤」
「違うー暑いの」
「ん?何と違う??」
にいには口元をにやりとさせながらあたしを覗き込む。

ずるいずるい!!

いつもはへらへらしてばっかのくせに、馬鹿みたいに真面目な顔がかっこいい…なんて。
心臓のドキドキは治まらないし、そんなあたしを見てニヤニヤしてるにいにが憎い。
「整備点検のとき絶対偏光フィルター換えてもらおう…」
「ん?僕が格好いいから?」
「馬鹿じゃないの?」
「リン、大好き…」
「もぅ、もう分かったから!!」
「ね、リンは?リンは?」
振り向くと顔が近づいた。
ただ、唇には届かなくて頬と目尻に触れた。

「……ひみつ」


言わなくても分かっているでしょ。
今度は嬉しそうにぎゅうぎゅう抱きしめられて、ため息をついた。

 

らぶらぶカイリン。え(ry編に続くww

 

 

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