毛玉

 

「にいに、何してるの…?」

 

それはカイトが人が座った高さほどの翡翠色の毛玉をブラッシングしている光景だった。

「あー、リンちゃんは初めてだっけ」

一度だけ視線を合せると、カイトはにっこり笑ってそっと長い毛を掻き分ける。
「はぁい、リンちゃん…」
「ミクちゃん」

暫くカイトがブラッシングを続けていると段々その姿が鮮明になる。
ミクは疲れた顔でため息をついた。

「こんな寝癖、漫画じゃないんだし、ありえない…」
「あはは…」

またため息をついてミクはそのままカイトに背中を預ける。

「仲いいんだね」
「こんなことマスターはやってくれないし、お兄ちゃんの唯一の存在理由よね」
「なにそれ…そんな事言うともうやらないよ?」
「だめ」

カイトがそんなミクの頭をへらへらしながら撫でている。
ミクも不機嫌な顔をしながらも、このときばっかりはやられるがままといった感じだ。

「でもお兄ちゃんって何か丁度いい按配なのよね、高さとか硬さとか」
「ふーん…」

何だか気持ちがぐちゃぐちゃする。
ミクとカイトはただの兄妹のはずなのに。自分とだって…

 

「リンも髪、伸ばそうかな…?」

 

「ん、リンちゃん何か言った?」
「ん、なんでもない」

 

 

まだ恋になる前。カイト+ミク(ツンデレ)おいしいです。
ありえないミクが好きすぐる。ちょっと変な子でも許してあげてください、おねがいします。

 

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