こんにちは、ミクです☆
何か最近、リンちゃんとお兄ちゃんがとてもいい感じ。
リンちゃんは一番の親友だし応援してあげたいけど…

 

レン君の受難2 -ミク編-

 

勢いよく床にあったクッションを投げつける俺。
「……八つ当たりならやめてくれない?」
「だってだってぇ〜!!」
慣れた手つきでクッションを受け止めて、ため息をついた。
「お兄ちゃん、リンちゃんばっかりかまってあたしの相手してくれないんだもん」
リンちゃんだって…とミクは頬をぷぅっと膨らめる。
「ミク…リンはともかく、そんなにカイ兄のこと好きだったっけ?」
「べつに」
間髪あけずに。
「ならいいじゃん」
「だって新しい悪戯考えたんだもん」
ミクはよくカイ兄のアイスに辛子を混ぜたり、マフラーとトイレットペーパーをすり替えたり(カイ兄も気付いてくれ)していて、二人の戦い(の低能っぷり)は日に日に熾烈さを増していた。
そこに突然のリンとの交際発覚。
正直俺もびっくりした。最初は流行のロ○誘拐か何かかと思っていたけど本気みたいだ。
リンもカイ兄も何故か俺を頼っていて相談も何度か受けた。

…で、今日はついに最後の住人、ミクがやってきた。

何なんだ、最近の俺人気は?
出来ることならもっと俺が幸せになれるような人気が欲しい。
まあそれはそれとして。

ミクは俺から先ほどのクッションを奪い返し、それを胸に抱いた。
いつになく思いつめた表情だ。
やっぱり、親友のリンと遊び相手のカイトがいっぺんに取られて落ち込んでるんだろうか。
「それで?」
「今度はスプーンにもわさび塗っとこうと思ったんだけど…」
あー、もうどうでもよくなってきた。
「別にいいんじゃね?」
「お兄ちゃんに悪戯するのはいいの!でも…」
「でも?」

「リンちゃんの幸せな時間、邪魔したくないんだもん……」

「………」
クッションに顔を押し付けていてミクの表情は分からない。
それにこんなミクを見るのは初めてで、俺も困惑している。
こんなことで気休めになるとは思えないけど、恐る恐るミクの頭をぽんと撫でた。
「…あ」
「元気出せよ、ミク」
「気安く触らないでくれる?」
「……」

しばらく沈黙が続く。それを破ったのはミクだった。
「…まぁ、どうせラブラブなんて75日でしょ。そうね、その後また悪戯すればいいや♪」
ぽんと手をたたくと嬉しそうに笑う。
親友だろ?黒い、腹黒い…頭痛がしてきた。
「それまではレンで我慢しよ」
「いや、やめてくれ、マジで」
「さっき私のこと殴ったくせに」
「いやいやいやいや」
殴ってないし。おかしい、ミクってこんな子だったっけ…?
このままミクの言うことに従わないとあることないこと吹聴されてしまいそうだ。
アレっ?これってもしかして…
ミクのほうに目を向けると、にやりと不気味な笑い顔を覗かせた。

 

やばい、地雷フラグ立った?

 

ウチのミクは腹黒い子です。レン君はちょっと(扱いが)かわいそうな子です。

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