「ねーちょっと聞いてる?レン君……??」
もういやだこんな生活。
レン君の受難
ちょっと前にリンとカイトはそーゆー関係になったらしい。
リンから聞いたし、カイトからも聞いた。
別々に。片割れのリンからはこんなことを言われた。
「……どうしよう、レン」
「何が?」
リンは何かもじもじしながら頬を赤らめている。
柄じゃねーよ、とため息が漏れる。
「にいにがねっ、あの……」
まだキスもしてくれないの、そんな相談だった。俺とカイトは同性同士だから参考にしたいとか何とか?
私から言っちゃっていいのかな?引かれないかな?みたいな、知らないよ。カイトからはこんなことを。
「どうしたらいいのかな、レン君?」
「なにが」
カイトは困ったような、でもうれしそうな…
俺に言わせて貰えば気持ち悪い。
「リンがさ…あの……」
何か言いたそうにしてるんだけど…、そんな相談だった。今、俺とリンは共同制作中であまり家に居ない。だから自分といないときのリンが心配らしい。
部屋に夜遅くまでいて、リンは仕事中大丈夫?耳にたこが出来るほど聞かれた。
「ねー、レン君ってば」
もう何回目だろうか。このシチュエーション。
「はいはい、聞いてるよ」
そんなことで心配そうな顔をするカイトを見ているとどっちが年上何だか、ため息が出る。
「大体さー、一応リンとカイ兄は恋人同士なんでしょ、だか…」
「違う、一応なんかじゃない!」
言葉の途中を遮られた。柄にもなく少し声を荒げたカイ兄はこぶしをぎり、と握った。
妙に真剣な顔が似合わない。
「ちゃんとリンのこと、もっと分かってあげたいんだ…」
「………」
カイ兄がアイス以外にこんなに執着を持っているとは知らなかった。
それが自分の片割れなら尚更。「なら、聞いてみれば?リンも多分待ってるんじゃない?」
ぶっきらぼうに、左手は頬杖をつく。
何で俺が姉のために一肌脱がなきゃいけないんだ?
頭をがりがりかき回す。
カイトは少しはっとして、それから碧眼を照れくさそうに細めた。
「……そっかぁ、ありがとうレン君」
そして、若干小走りに部屋を出て行った。
その数日後、リンから、カイトから、キスした後のことについて相談を受ける羽目になるとは。
もういいだろ、後は2人でよろしくしてくれよ。
いつの間に俺はこのポジションになったんだ…はぁ……