リンのほっぺ

 



やっと梅雨明けした昼下がり。
久しぶりの晴れ間に気分良くリビングに入ると
珍しく、1人だけでソファーに座っているリンを見かけた。


「あれ?レンは?」「マスターのところ」

いつも通り右側に座って、1人本を読んでいるリンはどことなく寂しそうで
ぽっかり開いた左側を埋めるようにソファーに座れば
本から顔を上げたリンが、不思議そうにこちらを向いた。


まだ幼さの残るリンの顔は結構丸っこくて
よくミクやめーちゃんがぷにぷに触っている。
確かに見るからにやわらかそうだけど・・・・

ーぷに


「へ?」


ーぷにぷに


「うわぁ・・・やわらかい」

指先で突くだけでも弾力がすごいのがよくわかる。
これは皆夢中になるはずだ・・・



「カイ、にぃ」


ぷにぷに、ぷに


段々とリンの機嫌が悪くなっていくのがわかる。
いい加減やめないとだめなのはわかってるけど・・・

その誘惑に勝てずに・・・・





「え!?」


顔を真っ赤にしたリンの目から、ハラリと涙が落ちる。


「リ、リン!!??」


慌てて手を止めて一生懸命慰めてもリンは一向に泣きやまない。
このまま泣いていたら目は赤くなってしまうし
こんなところを見られたら何を言われるか・・・・


「リン、ごめんね」

赤くなってしまった頬を撫でながら必死に宥めていると
俯いていたリンがようやくこっちを見てくれた。



「リ」




ぷに



「お返し」



そう言ったリンの顔は、凄く満足げで
泣かせてしまった上に、ずっと同じ事をしていた俺は
何も言えずにリンの頭を撫でていたのだった。

 

 

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